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【台湾商標法】近年商標代表判例概要一

2022-07-12

「Angelina」権利維持の商標使用に対する商品範囲の判断
 
係争商標
登録第00650036
第024類(旧区分):砂糖漬け果実、飴、クッキー、ドライスナック、パン、ケーキ。

【判決字号】智慧財産法院108年度行商更(一)字第5号行政判決

【争点】実際に商標が使用された商品の同質性の主張に関する認定

【商標法条文】第63条第1項第2号

【判決日】108.10.31(2019年10月31日)

【判決概要】
  1. 商標法第63条第1項第2号の目的は、商標登録後、商標権者が積極的に当該商標を使用することを促し、当該商標の商品または役務の出所を指示する機能が発揮することで、その商標権利を維持及び保護し続ける。ただし、過酷すぎることを避けるため、商標権者が一部の商品または役務の使用証拠を提出した場合、当該商品または役務と「同質性」を有するその他商品または役務の個々な使用証拠を提出しなくでも、それらにおける使用が認められる。
  2. 商品または役務の「同質性」の判断は、商標権者が登録商標を使用している証明責任を適度に緩和することであり、商標権保護範囲における商品または役務の「類似性」判断とは異なるので、両者は混同すべきでない。商品使用の保護範囲が過度に拡大することで上記商標法第63条第1項第2号の設立目的を失うことを避けるため、商品又は役務の「同質性」を判断する際に、商品または役務の「類似性」の概念を直接に援用すべきでない。
  3. 商品が「同質性」を有する判断基準は、商標が実際に使用された際、2つの商品または役務の内容、専門技術、用途、機能などが同じであるかどうか、また商業取引の慣習において、一般公衆は同じ商品または役務と見なされるかどうかに基づくべきである(最高行政法院108年度判字第133号判決参照)。
  4. 本件商品「クッキー、ドライスナック、パン」及び商品「ケーキ」は同じベーカリー業者より製造・提供され、また材料は同じ小麦(米)粉であり、製造工程も非常に似ている。同一業者にとって、これらの商品はいつでも既存材料で製造して関連消費者に提供でき、また満たされる消費者のニーズも同じである。社会の一般通念及び商業取引の状況より、同質性の商品に該当する。
  5. 商品「砂糖漬け果実」はうめ、もも、あんず、なし、プルーンなどを原料とし、糖またはハチミツを用いて漬けた後、加工製造された脱水または砂糖漬けの果物と野菜である。「飴」は糖類を主要成分とし、高温で溶かして煮て作った。商品「砂糖漬け果実」及び「飴」は実際の使用商品「ケーキ」と比べて、材料、製造工程または実際の生産販売形態には違いがあり、同質性の商品に該当しない。
【ポイント】
三年不使用取消案件において、実際に使用した商品または役務の概括範囲の判断基準は「同質性」であり、商標混同誤認の「類似」商品または役務の考えとは異なるので、商標の使用実績があるとしても、部分商品または役務が取り消される可能性があります。従い、商標出願の指定商品または指定役務は、実際使用または今後使用予定がある商品または役務より参照すべきと考えます。また、他人の取り消し理由にならないように、商標登録後、商標権者は指定商品または役務において積極的に登録商標を使用する必要があります。