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【台湾商標法】近年商標代表判例概要三

2022-07-18


「聖旺」に対する混同誤認のおそれに関する判断
係争商標 引用商標
登録第01982751
第43類:ホテル、モテル…。
登録第00186675
第43類:レストラン…、ホテル、モテル…。

【判決字号】智慧財産法院109年度行商訴字第76号行政判決
【争点】高度類似性の役務に使用された2つ低度類似性商標について、消費者に混同誤認を生じさせるおそれの有無
【商標法条文】第30条第1項第10号
【判決日】110.3.25(2021年3月25日)
【判決概要】
  1. 中国語を慣用している我が国の消費者にとって、両商標の中文部分は商品・役務の出所を識別する根拠とし、全体からみると、一つは「聖旺商旅」及びその下にフォントサイズが小さい英語の文字列があり、もう一つは「神旺大飯店」及びその下にフォントサイズが小さい英語の文字列で構成されている。また、係争商標は黄色で、引用商標は白黒、かつフォントも異なる。従い、両商標は色、フォント、中国語及び英語が全て同じでなく、商標図様全体が消費者に与える感覚が異なる。「聖旺商旅」及び「神旺大飯店」は同じ文字「旺」を有するが、「旺」字は意図的に拡大または強調せず、かつ両商標は飲食業及び宿泊業に使用され、一般的な日常消費用品ではないため、実際当該役務を利用する消費者または今後当該役務を利用する可能性がある潜在的消費者にとって、通常一定程度の注意を払えば、両商標は軽易に区別でき、同一または関連出所を混同させないと考え、両商標の類似性は非常に低い。
  2. 商標法第30条第1項第10号に関する商標または役務類似程度の判断は、両商標が登録された指定商品または役務に基づくべきである。本件の両商標は共にホテル、レストラン等役務に指定され、本質的に相違がないため、原告が主張した経営態様及び商業上位置付けの違いはその他混同誤認の要因と見なされるべきであり、役務の不類似性の認定として使用できない。
  3. 係争商標が使用される宿泊役務は台南市の中心部に位置し、市街地へのアクセスの利便性があるビジネスホテルとして宣伝され、引用商標が使用される台北市に位置する星評価のあるホテル役務とは明らかに異なる。引用商標は確かに係争商標より高い知名度を有するが、飲食業及び宿泊業サービス市場の関連消費者にとって、両者の違いは区別できるはずであり、かつ両商標は市場において同時に使用されている事実が該分野の関連消費者に認識されている。
  4. 両商標の類似程度が低いため、混同誤認のおそれを判断するための2つの主因の一つが既に欠落している。また、両商標の指定役務は同一または高度の類似性を有するが、原告が提示した証拠より、飲食業及び宿泊業の関連消費者は係争商標及び引用商標が併存している事実を認識していることが認定できる。両者の役務形態が異なり、かつ関連消費者が実際に混同誤認になった証拠もない。総合的に検討した結果、関連消費者は両商標を同一出所、または両商標の使用者の間に関連企業、ライセンス関係、加盟関係またはその他類似の関係が存在すると誤認する可能性はない。
 【ポイント】
両商標の類似性が高くないが、商品または役務が非常に類似している場合、それらが同じ市場で共存してる事実証拠があれば、審査機関が消費者の混同誤認が実際にあるかどうかを判断するのに役立ちます。