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【台湾商標法】近年商標代表判例概要四

2022-07-22


「旺旺」に対する商標の信用を損なうおそれの有無の著名程度
係争商標 引用商標
登録第01982751
第43類:ホテル、モテル…。
登録第01515970
第35類:広告の企画設計製造代理宣伝及び宣伝物の発送…。


【判決字号】智慧財産法院109年度民商上字第9号民事判決
【争点】著名商標の保護範囲は著名程度によって異なるかどうか
【商標法条文】第30条第1項第11号、第70条第2項
【判決日】109.10.22(2020年10月22日)
【判決概要】
  1. 「著名商標の識別性を損なうおそれ」とは、著名商標の識別性が弱まる可能性があると意味する。つまり、著名商標が特定な商品または役務に使用された場合、本来はある単一特定な出所に連想させるが、もしライセンスを取得していない第三者より任意に使用され、当該商標が強く指示した単一出所の特徴及び魅力を徐々に弱めたり分散させたりすることによって、当該商標は最終的に2つまたは2つ以上の出所を指示する商標になる可能性があるので、その商標は一般民衆に単一連想または独特な印象を与えることができない。「著名商標の信用を損なうおそれ」とは、著名商標の信用が損なわれる可能性があると意味し、ライセンスを取得していない第三者の使用行為によって、消費者は著名商標が代表する品質・信用に対して否定またはネガティブな連想を生じさせるという。また、著名商標の識別性または信用を損なう有無の判断は下記要因を参照すべきである。①商標の著名程度:商標は比較的に高い著名程度を有する場合、その識別性及び信用も比較的に損なわれる可能性がある。②商標の類似程度:類似性の要件に関して、混同誤認のおそれと比べて商標希釈化のおそれがより高い商標類似性を要求している。両商標が同じでなく、かつ類似程度が高くない場合、著名商標の識別性または信用が損なわれるおそれがあると証明するには比較的に難しいである。③商標が普遍的にその他商品・役務に使用される程度:商標が第三者によって、様々な商品・役務で広く使用された場合、当該商標の独占的な使用程度は比較的に低いため、その識別性または信用が損なわれる可能性も低いである。④著名商標の先天的または後天的識別性の程度:商標の識別性はその著名程度に関連するものの、商標自身の独創性もその識別性を判別するための一つの要素である。従い、商標希釈化の保護すべく対象は識別性及び著名程度が高い商標であり、独創的な商標は比較的にこのような識別性及び著名程度を有する。⑤その他参考要因。
  2. 著名商標の希釈化に関する規定について、商標法第30条第1項第11号後半に記載された内容より、その著名程度は関連消費者を越して、「一般的消費者」の普遍的な認知度として解釈すべきであり、同条文の前半の「関連消費者」に限定された混同誤認のおそれに関する規定とは異なる(最高行政法院107年度判字第446号判決意旨参照)。同一用語同一解釈という法理に基づき、商標権侵害争議案件において、同じ解釈を適用すべきである。例えば商標法第70条第2項に規定された「著名商標の識別性または信用を損なうおそれがある」という商標権侵害行為において、その保護対象である著名商標は、「一般的消費者」が普遍的に高く認知されるべきである。
【ポイント】
本件の判決より、実務的に著名商標の希釈化に関する保護範囲は、著名商標の混同誤認の保護範囲より広いです。従い、著名商標の希釈化の適用範囲が同一または類似商品・役務以外の範囲まで拡大することを防ぐため、著名商標の希釈化に関連する場合、「一般的消費者」が普遍的に高く認知されるレベルに達する必要があります。また、商標権者は著名商標の希釈化を主張する際に、前記レベルに達したことを証明するため、多数かつ広範な使用証拠を準備する必要があります。