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【台湾商標法】近年商標代表判例概要五

2022-07-25


「LV」商標のパロディ  
【判決字号】智慧財産法院108年度民商上字第5号民事判決
【争点】「商標のパロディ」(parody)に関する判断と認定
【商標法条文】第5条、第36条第1項第1号、第68条
【判決日】109.1.16(2020年1月16日)
【判決概要】
  1. 風刺または冗談は、国の言語、文化、社会的背景、生活体験、歴史など要因と密接な関係を有し、外国人のよくある冗談に対して、本国人は字面通りの意味を理解できたとしても、そのユーモア・諧謔を理解できない場合があります。さらに、風刺または冗談に含まれるユーモラスな要素は、時にリスナーが笑いのツボを理解できるまで、一定な推論・思考のプロセスを経る必要がある。しかし、商標図様が関連消費者に混同誤認のおそれを生じさせるかどうかは、関連消費者が商標図様を見た瞬間の瞬時的な反応で決定されることが多い。すなわち、多くの推理や思考の必要がなく、その他商品または役務の出所が同一または関連する印象の有無である。MOB案における米国の判決は、「原作とは関係ないことを明確に伝達すること」かつ「消費者は直ちにパロディとして認識できること」という判断基準を満たす必要があると示唆される。
  2. 我が国は商標法の規範において、商標パロディのフェアユースを主張する場合、以下の2種類の抗弁を行うことができる。(1)使用の方法:他人の商標を自己の商品役務の出所を示す標識として用いるのではなく、商標の使用方法が単に風刺・滑稽な言論表現に過ぎず、「商標的使用」に該当しないので、商標権の侵害も成り立たない。(1)の抗弁が成立しない場合、(2)混同誤認を生じさせない:使用人はその商標の使用は、関連消費者に混同誤認を生じさせないため商標権侵害を構成しないという抗弁を行うことができる。ただし、他人の商標を使用する行為が商標の出所表示という最も重要な機能を破壊している場合、商標権侵害に該当するので、パロディであるという主張によって責任を免れることはできない。
    引用商標
    登録第0155266801592692
    第4、8、9、12、14、16、18、19、20、21、24、25、26、
    27、28、34類:サングラス…、ジュエリー…、印刷物…、ハンドバッグ…、鏡…、衣服…等商品。
    登録第01155372
    第 9類:メガネ、サングラス及びメガネケース。
    第14類:ジュエリー、リング…。
    第18類:革及び合成革、旅行バッグ…。
    第25類:衣服及びインナーウェア、セーター、シャツ…。
    登録第00831283
    第18類:革製又は革板製の箱…。
    登録第00843926
    第18類:革製又は革板製の箱…
    登録第01182808
    第 9類:メガネ、サングラス及びメガネケース。
    第14類:ジュエリー、リング…。
    第18類:革及び合成革、旅行バッグ…。
    第25類:衣服及びインナーウェア、セーター、シャツ…。
 
判決の添付表二/三
判決の添付表四

【ポイント】
他人の商標に対してパロディを行うことは、単にユーモラスな表現または消費者の注目を集める効果と考えているかもしれませんが、その使用の方法は果たして言論の表現に属するか、またはその使用は消費者に混同誤認を生じさせ、他人の商標の商品・役務の出所を指示する機能を破壊するかどうかは、商標権侵害争議案件において、司法機関を通して案件ごと判断する必要があります。従い、他人の商標に対してパロディを行う場合、商標権侵害のリスクに注意を払うべきです