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【台湾商標法】近年商標代表判例概要六

2022-07-28 商標組


「瑪麗蓮」に関するキーワード広告及び商標権侵害の判断
 
係争商標
 
登録第01596983
第25類:ブラジャー、インナーウェア…。
登録第01592205
第35類:広告企画、広告デザイン…、ネットショッピング…。

【判決字号】智慧財産法院107年度民商訴字第41
【争点】
  1. 他人の登録商標文字をキーワード広告(リスティング広告)または広告の文案に他人の登録商標文字を用いてタイトルコンテンツとして掲載された場合、「商標使用」に該当するか?
  2. 他人の登録商標文字を用いてタイトルコンテンツとして掲載された広告文案は、公平交易法(公正取引法)第25条に規定した不公正な競争行為を構成するか?
 【商標法条文】第5条、第68条
【判決日】109.8.31(2020年8月31日)
【判決概要】
  1. 被告は係争商標文字「瑪麗蓮」を「検索連動型」のキーワード広告に用いられるが、プログラム内部コマンドによる連動行為であり、外部の有形使用(目に見える使用)ではないので、消費者に商標として認識させるには不十分であり、「商標使用」行為に該当しない。原告が主張した「購買前の混同」は、係争商標を検索キーワードとした広告によって、原告のウェブサイトと混同誤認される可能性があると指摘している。しかし、消費者が当該ウェブサイトにアクセスした後、その広告主は明らかに他人(すなわち被告A社)のオフィシャルサイトであり、係争商標を使用しておらず、かつA社の会社名称またはその他識別できる標示が掲載されているので、関連消費者は原告のウェブサイトまたはページを誤解し、混同誤認のおそれが生じさせない。また、「購買前の混同」は、商標法第68条に規定された「混同誤認を生じさせるおそれがある」に属しない。
  2. 被告B社(販促会社)の係争広告文案は、広告プラットフォームが提供したキーワード挿入機能を使用し、また検索結果に表示された係争広告にキーワード「瑪麗蓮」が確かに含まれ、また「維娜斯」と並置しているので、検索した関連消費者に商標「瑪麗蓮」を十分に認識させる。また、ウェブサイトをクリックすることで被告A社のオフィシャルサイトにリンクされ、インターネットにおいて、被告A社のシェイプウェアなど商品または役務を積極的に販促する目的は明らかである。前記の「検索連動型」のキーワード広告と異なり、単純にキーワードで検索をトリガーという無形の使用(目に見えない使用)だけではなく、「商標使用」に該当すべきである。
  3. 企業が購入したキーワードは他の企業の名称またはブランドであり、企業自身または提供する商品または役務と関連せず、消費者が特定キーワードを入力することで検索エンジンの検索結果は当該企業の広告コンテンツページやリンク先を表示し、また係争キーワード用語を加えることで消費者がそのウェブサイトにアクセスするように誘導され、消費者の閲覧率を引き上げ、自社商品または役務を販促する場合、他企業の努力の成果にしがみついて取引の機会を獲得する行為は、他企業ののれん(評判)に含まれる経済利益と努力の成果を搾り取るにあたるので、ビジネス倫理において非難に値し、かつ市場の公正な競争秩序に影響を及ぼし、公正法第25条の不公正な競争行為を構成する。
【ポイント】
同業商標のキーワードを購買し、また広告コンテツに自分の商標と並置することによって、確かに自身ブランドの露出率を増加し、閲覧率を引き上げることができますが、その使用方法は消費者に当該同業の商標を十分に認識させる場合、同業の商標の「商標使用」に該当し、さらに公正取引法に基づく不公正な競争という違法な状況になります。従い、同業の商標をキーワードとして使用する場合、その使用方法が消費者に商標として認識させるのか、または混同誤認を生じさせ、他人の商業信用にしがみつく可能性などを考慮しなければなりません。