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【台湾商標法】近年商標代表判例概要七

2022-08-01


「德可立爾」の非オリジナル包装における販売及び商標権侵害の抗弁
 
係争商標
登録第01519170
第5類:薬品。

【判決字号】智慧財産法院107年度刑智上訴字第44号刑事判決
【争点】商標法第36条第2項の商標権権利消尽主張に適用できるか?
【商標法条文】第36条第2項、第95条
【判決日】108.2.21(2019年2月21日)
【判決概要】
  1. 商標法第97条に規定される商標権を侵害する商品を違法に販売する行為は、商標偽造の商品が対象であり、仮に販売された商品は登録商標を使用し、その品質は商標権者が販売した同一商標と同様で、かつ関連消費者に混同、誤認、欺瞞を生じさせるおそれがない場合、商標権者のビジネス上の評判や消費者の利益を損なうことはなく、また商標権者による市場独占、価格支配を防げるので、逆に価格競争を促進し、関連消費者が同じ商品を購入する際に選択でき、自由競争の利益を受け、商標法の目的に違反しない。
  2. 反対に、オリジナル包装でなく、許可なく加工、改造または変更が加えられているが、商品に同一登録商標が付され、又は商品に登録商標が付された広告等文書が添付されて陳列又は散布された結果、消費者に当該商品の提供者が商標権者、使用許諾を受けた者、指定の代理店、販売店であると混同誤認させる場合、これは他人の商標を悪意に使用する行為に属し、商標権を侵害する犯罪意識があることは明らかであるため、商標権侵害を構成し罰則が適用される(最高法院82年度台上字第5380号刑事判決意旨参照)。
  3. 本件被告は台湾A社から購入した薬品を開封後、小分けしてオリジナル包装とは異なる包装に再梱包し、事情を知らない印刷業者にA社の名義及び本件商標が印字された包装パッケージの印刷を依頼した。このような行為は関連消費者にA社のオリジナル包装の薬品と誤認させるに十分であり、混同誤認を生じる虞があることから、商標権の権利消尽による抗弁に適用できない。
【ポイント】
商標法で「真正品の並行輸入」を認める目的は、偽造品以外の商品を自由に市場で販売できるようにすることで、消費者が購入する際に選択できるチャネルを増やし、価格競争を促進します。ただし、他人がオリジナル製品を加工、改造または変更した場合、原製品の品質がその過程で変化し、商標権者の権益に影響を与える可能性があります。台湾実務上、オリジナル製品に対して再梱包、改装など行為について、行為者は商標権の権利消尽による抗弁に適用できないと認定されます。従い、商標権の侵害を回避するため、事業者が他人の商標を標示されたオリジナル製品を並行輸入・販売する場合、製品のオリジナル状態を維持し、任意な変更を加えないことを推奨いたします。