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【台湾商標法】多くの象徴的なキャラクターを有することを誇りとするディズニーの未曽有の著作権の危機に直面する可能性

2022-09-30 張成祥 商標コンサルタント

 
  • 世界的に広く人気なディズニー
      すべては、もうすぐで100年前となる1923年にウォルト‧ディズニー氏が親友とで「ディズニー・ブラザース・カートゥーン・スタジオ」を設立したのが始まりです。数十年の時間にも及ぶ発展と数々の社名変更を経て、今日に至るまでに世界で最も高い知名度を有し、年間売上高が100億ドルにもなるアニメーション及び映画製作メディアの大手、即ち、皆さんが聞き慣れた「ウォルト・ディズニー・カンパニー」(以下、ディズニーと称します)となっています。ミッキーが口笛を吹いて蒸気船ウィリーを運転することから始まり、ドナルドダック、白雪姫と7人のこびと、アラジン、ライオン・キング、バズ・ライトイヤー等及び最近ではアナと雪の女王等、それぞれが子どもたちが聞き慣れた王道のアニメーションであって、寝る前に読み聞かせる童話です。既に世界的に有名なディズニーにとって、子供が夢見る童話であるだけでなく、大人たちの幻想的な世界ももちろん忘れることはありません。商業的な運営モデルを通じて、映画史の興業記録を破ったアベンジャーズ等のマーベル系ヒーロー映画を擁するマーベル・エンターテインメントを支配下に置き、その後、ジェダイライトセーバー「スター・ウォーズ」を所有するルーカスフィルムを買収し、世界で最初に製作された3D映画であるアバター及びニュー・ミュータントの著作権を有する21世紀フォックスグループを約700億ドル(10兆日本円に相当する)にも及ぶ巨額で買収しました。今や、ディズニーはアニメーションの世界的王者であるだけでなく、驚異的な数量の知的財産権を網羅する王国となりました。 このように膨大な知的財産権を有することから、自ら権利の使用、ライセンスの許諾又は権利侵害の事態が発生した場合でも、ディズニーは常に積極的に既有の権利を行っており、更に、日本の任天堂に並んで東西で最強の法務チームと呼ばれています。しかしながら、法律上の権利は時間が経つに連れ消滅する日がやってきます。現在、前述の著作権を有するだけでなく、Netflixと対抗するOTT(Over-the-top media services)デジタルストリーミングプラットホームDisney+、ナショナル ジオグラフィックチャンネル、FOXチャンネルを有する厖然たる巨人のディズニーにとって、このような権利消滅の問題が起き始めていることを危惧しています。
  • メインキャラクターに係る権利の失効
      ご存知の通り、ディズニーは様々なキャラクターの知的財産権を有するだけでなく、テレビチャンネル、インターネットストリーミングプラットホーム等を含む多様化されたマーケティングチャネルを更に網羅しており、消費者が様々なチャネルを通じて関連する情報に触れられるようにすることができ、権利の保護及び運用が重視されるのは当然なことです。それでは、どうして本日のテーマはディズニーが直面する著作権の危機について言及されているのでしょうか。これは、ディズニーが遵守するアメリカの著作権に関連する法令について、元来、キャラクターの著作権には五十年の保護期間のみが与えられていましたが、今では満百歳にもなろうというミッキーについて、読者の皆さんはとっくに著作権が消滅したのではないかと不思議に思うかもしれません。まさにその通りであって、皆さんの計算能力は間違いありません。1980年代にはミッキーは著作権の保護を受けられなくなっていましたが、ディズニーは引き続きミッキーという金のなる木を維持するために、政府の関連する部門に対して強くロービー活動を行い、法改正を通じて著作権の保護期間の延長に重ねる延長を勝ち取り、現在に至るまでミッキーの著作権保護期間は2024年に満了となります。当該法案は「ディズニー保護法案」とも呼ばれています。事実上、ディズニーの支配下にある多くの知的財産権のうちの一つに、皆さんの幼少期の仲間である「くまのプーさん」を有していますが、著作権の保護の効力が消滅したため、映像制作会社により暴力と恐怖に満ちたホラー版の映画に改編されました。更に、ミッキーの著作権が消滅するだけでなく、ドナルドダック、白雪姫と7人のこびと、バンビ等の誰もが知っている昔からのアニメーションとキャラクターもこれからの数年で次々に著作権による保護の効力を失うため、この権利消滅時に皆さんが幼少期の印象と異なる様々なファンタジーの物語が出現するか、非常に想像の余地があります。このように見ると、あなたの幼少期、成長段階、それまたお子さんに付き合うとき、ディズニーの面影はあったでしょうか。ミッキーからマーベル系映画まで、ディズニーの経営するブランドは、小鳥の翼のように、飛び立つ万全の準備を整え、深く人々を魅了し、消費者に夢と希望を与えます。その中でも最も大切であって最も確信的であるのは、遠くを見渡して羽ばたく体の力、即ち、知的財産権という強力な力を運用し保護して産業を支配することです。小鳥の目が十分に遠くを見ることができないとき、又は翼の力が十分でないとき、失速して墜落する可能性があり、これは風力滑空を利用して持続的に飛行することができるかどうかということであり、ディズニーが新たな知的財産権に対しても常に積極的に買収を行い止まることなくディズニーの世界を拡大すると同じように、いかに現有の知的財産権を活性化して再び運用して、関連する権利の保護を継続するかは、ディズニーの一刻の猶予も許さない議題となっており、一方、その権利の保護方式と態様は多くの創作者も学習できるテンプレートでもあります。
  • どのように法令により保護される知的財産の成果を運用するか
      しかし、ディズニーはなんといっても外資系企業であって、適用されるのは外国の法令です。それでは、台湾の企業又は個人は、ありったけの知恵を絞って創作した文字又は図等の知的財産の成果をどのように保護するのでしょうか。以下二部に分けて説明します。

    商標法:
    《商標法》第2条には「商標権、証明標章権、団体標章権又は団体商標権を取得しようとする者は、この法律により登録出願をしなければならない。」と規定されており、この条文より、台湾で商標権を取得し、法令により保護を受けるために、採用されているのは「登録主義」であり、即ち、創作者は主務官庁に出願して、審査が通過することで、商標権を取得することができるということがわかります。
    《商標法》第18条には「商標とは、識別力を備えた標識で、文字、図形、記号、色彩、立体的形状、動き、ホログラム、音等、又はこれらの結合からなるものをいう」と規定されており、これにより、創作者は自己の創作が商標法の規範である商標の初歩的な態様を満たすか理解することができます。
    《商標法》第33条には「権利者は、商標の登録公告日から商標権を取得し、商標権の存続期間は、10年をもって終了する。商標権の存続期間は、更新登録の申請により更新することができ、更新期間は1回につき10年とする。」と規定されており、商標権は取得してから登録後の権利保護期間は10年一期であり、10年の期間が満了するとき、延長することができ、延長回数の制限はありません。
    ディズニーの人気キャラクターミッキーを例とすると、テレビ上の2Dの黒白模様から、科学の進歩に伴ってカラーのミッキーになり、ひいては3Dの立体視覚効果も出現するようにもなり、その人気を受けて、おもちゃなど周辺商品も多数販売されており、考えられる方向としては、1.キャラクター名称の登録、2.ミッキー黒白模様の登録、3.ミッキー彩色模様の登録、4.ミッキー立体おもちゃの登録等の方法があります。文字と模様の保護だけでなく、権利の保有期間も十分であり、使用する際組合せて運用することができ、権利の抜け穴を利用しようと試みる者による権利侵害を防ぐことができます。

    著作権法:
    《著作権法》第10条には「著作者は著作物を完成させたときに著作権を有する。但し、この法律に別段の定めがある場合、その定めに従う。」と規定されています。即ち、原則的に著作物を創作した時点で、すぐに著作権を取得するため、登記又は登録の手続きを経る必要はありません。商標法が採用する「登録主義」とは完全に異なり、商標法が採用するのは「創作保護主義」であって、「創作登録主義」ではありません。
    《著作権法》第3条には「この法律における用語は以下のとおり定義する。一、著作物:文学、科学、芸術その他学術の範囲に属する創作を指す。二、著作者:著作物を創作する者を指す。三、著作権:著作物が完成されたことにより生じた著作者人格権と著作財産権を指す。」と規定されています。
    《著作権法》第5条には「この法律にいう著作物につき、下記のとおり例示する。一、言語著作物。二、音楽著作物。三、演劇、舞踊著作物。四、美術著作物。五、写真著作物。六、図形著作物。七、視聴覚著作物。八、録音著作物。九、建築著作物。十、コンピュータプログラム著作物。前項各号の著作物の例示の内容は主務官庁がこれを定める。」
    《著作権法》第30条には「著作財産権は、この法律に別段の定めがある場合を除き、著作者の生存期間及びその死後五十年まで存続する。」と規定されています。
    著作権法の前述の規定に基づくと、再度、ディズニーのキャラクターミッキーを例とすると、ミッキーの模様は芸術の創作物に属し、美術又は図形著作物に分類することができるはずであり、ディズニーは当該キャラクターの創作者であります。したがって、ミッキーが創作された瞬間に、創作者ディズニーは著作者格権及び著作財産権を享有することができますが、著作財産権は著作者の生存期間及びその死亡後五十年存続するという制限があります。総括すると、企業又は個人はディズニーによる支配下のキャラクターの保護方法を参考にすることができます。創作が完成した時点で享有する著作権の保護以外に、商標法の登録規範をも利用することができ、二つのアプローチの方法で、知的財産の成果につき配置とプランニングを先行し、完全な権利行使を利用することで最大利益を創出することができるだけでなく、更に、起こりうる権利侵害の疑念を金城鉄壁のように防御して排除することがきます。
  • まとめると、本篇文章のディズニーキャラクター例示から、台湾の商標法と著作権法の規範を補足したところ、大多数の国は、台湾を含め知的財産権の規定について、特に著作権は期限のある保護期間又は延長回数を設けることにより、権利者が永久に知的財産の利用を独占することを防いで、保護期間が過ぎると、権利者が著作財産をもはや独占することができなくなります。しかしながら、商標法の規範は保護期間の制限がないが、無効や取消のリスクを有することに注意しなくてはなりません (関連する制度について紹介した以前に弊所の記事を参照してください)。しかし、熟慮に値することは、関連する法令の最終目的は、文化を保護することで、伝えることを基礎として更に発展させることを主たる前提としているため、私たちは時には前の人の経典を参考にするために引用したり、別の敬意を表す必要があります。このように、権利者が永久に独占し、他者に利用を許さないというのは、逆の発想で、文化の発展を阻害することになるのでしょうか。しかし同時に、著作物は創作者の頭の中にあるアイデアを具体的に表現したものであることを考慮するだけではなく、創作者と著作物のつながりを侵害しないように注意しなければなりません。したがって、関連する権利を利用しようとする場合、ライセンスの許諾を採用することができ、出所が合法性を有するだけでなく、侵害による紛争や損失を避けることができ、このようすることで、関連する法令の下で自由に他人のコンテンツを利用できるようにすることができます。創作者は、商標法と著作権法の重畳的効果を利用して、自身の著作物についてそれぞれ事前に計画して保護するすることができます。知的財産の成果について的確に保護及び利用をすることで、権利侵害のリスクを回避することができます。最後に、ディズニーは本当に子供の頃から皆さんが成長するまで共に歩み、成人になる階段に至るまでも深い影響を受けていることから、改造されたディズニーの支配下にあるキャラクターの姿を想像することは難しいですが、ディズニーのキャラクターに係る著作権の維持方法について観察してもよいです。ディズニーランドに遊びに行く時と同じように、幼少期の純粋さとファンタジーを引き続き保有することを期待します。
 資料ソース:
1、https://www.bnext.com.tw/article/54417/mickey-mouse-intellectual-property-will-going-to-expire
2、https://www.bnext.com.tw/article/54962/disney-the-empire-of-most-earning-ip-intheworld
3、https://zh.wikipedia.org/zh-tw/%E8%91%97%E4%BD%9C%E6%AC%8A%E5%B9%B4%E9%99%90%E5%BB%B6%E9%95%B7%E6%B3%95%E6%A1%88
4、商標法、著作権法