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【台湾商標法】台湾と中国の商標法の制度についての分析と比較(中)

2023-03-07 商標グループ 張成祥


1、前書き
  前篇の文章において、立法目的からわかるように、現在、台湾と中国は、「登録主義」を商標権取得の主な方式として採用している。したがって、商標出願人は、実際に登録を受けようとする商標についての使用事実は必要なく、主務官庁に出願することによって登録できる。それでは、商標権の取得は、主務官庁へ出願すれば商標権を取得する可能性があるのでは、いかなる態様でも出願すれば商標登録を受けられるのでしょうか?例えば、出願人の事業計画を把握している事業パートナーがいるが、ブランド商標を出願していない場合や、商品/役務が既に市場でマーケティングが行われることにより、消費者の注意を引き、熱烈な反響を得ているが、ブランド商標が出願されていないが、不運に悪意のあるものに先取的に登録されるため、利益の損失が発生している等の場合など、いくつかの場合が想定されうる。当然に、立法者は、全般的に立法計画を建てるとき、他人に先取り的に登録される場合に対応する保護制度も考慮しており、本文では台湾と中国の両岸間の商標法の制度分析及び比較(上)に引き続き、読者の皆様に両岸間の商標登録及び商標の先取り的登録の概略的な態様について分析して紹介する。
2、両岸の商標登録出願と先取り的登録に対応する関連規範
一、両岸の出願商標の態様の根拠
  中国商標法第8条は、「自然人、法人又はその他の組織の商品を他人の商品と区別することができる文字、図形、アルファベット、数字、立体的形状、色彩の組合せ及び音声等、並びにこれらの要素の組合せを含む標章は、すべて商標として登録出願することができる」と規定しており、同法第9条は、「登録出願に係る商標は、顕著な特徴を有し、容易に識別でき、かつ他人の先に取得した合法的権利と抵触してはならない。」と規定しておる。台湾商標法第18条は、「商標とは、識別性を具えた標識で、文字や図形、記号、色彩、立体形状、動態、ホログラム、音声など、又はその結合によって構成するものをいう。前項でいう識別性とは、商品又は役務の関連消費者に、指示する商品又は役務の出所を認識させ、他人の商品又は役務と区別できるものをいう。」と規定している。上述の台湾と中国の商標法から、実際、両岸の出願できる商標の形態の定義に大きな違いはないことがわかる。基本的に、いずれも現代社会において民衆が頻繁に目にする商標をすべて含んでおり、従来の表面、図形商標、又は商業の発展と科学技術の進歩により現れた立体商標や音声の商標等が含まれる。各種様々な態様や組合せの連合式商標はいずれも出願できるように見えるが、対応する審査制度が存在する。詳細は法令にあるが、中国商標法第8条、第9条及び台湾商標法第18条の太字下線部において、全ての文字、図案等が商標登録を受けられることができるのではなく、消費者がそれにより商品や役務を識別し、区別できるようにする必要があり、他の者と異なるブランド提供者のみが商標を出願することができると明確に釈明している。即ち、商標は、識別機能を有することを商標登録の要件としているところ、同要件を中国の法規では、顕著性といわれており、台湾の法規では、識別性といわれているが、用語が異なるだけであって、同要件の目的は、商標の出願件数を実際の需要より多くならないようにすることにある。中国の顕著性又は台湾の識別性の審査基準に至っては、両岸の商標法には、非常に多くの例示規定があり、例えば、中国商標法第11条及び台湾商標法第29条における識別性に関する規範及びより詳細な個別の審査基準がある。
二、両岸の商標の先取り的登録に対する救済方法
  仮に、今日、自社のブランド商標が他人により悪意で先取り的に登録されると、経営戦略及びブランドの商品/役務は、水の泡になってしまうのでしょうか。商標は、他人より出願され、顕著性又は識別性の審査を通って、登録されてしまうことがあるが、心配する必要はない。上記場合は、既に両岸の立法者によって既に想定されたものであって、法律の規範によって対応する保護制度が提供されている。現行の中国商標法第7条は、「商標の登録出願及び使用は、誠実信用の原則に従わなければならない」と規定しており、同法第44条は、「登録された商標が、この法律の第四条、第十条、第十一条、第十二条、第十九条第四項の規定に違反している場合、又は欺瞞的な手段若しくはその他の不正な手段で登録を得た場合は、商標局は当該登録商標の無効宣告を行う。その他の単位又は個人は、商標評審委員会に当該登録商標の無効宣告を請求することができる」と規定しており、上記に列挙した条文は、中国商標法の法体制における「悪意の先取り的登録」の救済条項であり、そのうち第7条の規定は、帝王条項とも呼ばれており、文字で説明するのであれば、非常に上位の概念であることがいえる。第44条は、例えば、欺瞞的又は不当な手段で登録を受けた場合を明確に規定しており、見れば明らかな通り、悪意の先取り的登録行為が含まれており、企業であれ、個人であれ、主務官庁に当該商標の無効宣告を請求することができる。また、現行の台湾商標法第30条第1項第12号は、「商標は、下記の状況がある場合、商標を登録することができない。他人が先に使用している同一又は類似の商品又は役務と同一又は類似の商標で、出願人が該他人との間に契約、地縁、業務上の取引又はその他の関係を有することにより、他人の商標の存在を知っており、意図して模倣し、登録を出願した場合。但し、その同意を得て登録出願した場合は、この限りでない。」と規定している。即ち、台湾の商標法は、「悪意の先取り的登録」を法規の重要条項として取り入れている。しかし、台湾の方は、中国の商標法の規範と比較して、先取り的登録商標を取消しようとする場合、先取り的に登録した他人と自身との関係を説明しなければならいことを特に要求してから、見れば明らかな通り、立証責任を負う。これも悪意で先取り的に登録された商標に対する異議、評定(無効審判に相当)には、根拠があるべきの基本である。実際、両岸の商標の悪意の先取り的登録の規範は、これだけでなく、中国商標法第4条における使用を目的としない悪意のある商標登録出願、及び台湾商標法第30条第1項第11号における著名商標の保護規定に類似する同法第13条の周知商標の保護等に関連する規定が含まれているが、文章の長さ上の関係から、よく発生する実務上の例のみを説明する。

3、評論分析
  両岸の商標登録及び先取り的登録に関する法規から見ると、台湾であれ、中国であれ、「使用を目的としない」、「悪意のある先取り的」商標登録行為を十分に重視しており、「使用を目的とすると共に、それにより出所を区別する」という最も主要な機能を出発点としていることを強調している。主務官庁が多忙でミスがあったときに、商標が意図して先取り的に登録されることがあるので、両岸は、似たような救済制度を設けることにより、国民の目を十分に活用して監視し、多くの商標が悪意のある先取り登録されたものであることを回避するだけでなく、実際に商業マーケティングプロモーションに応用するブランド商標の所有者に、積極的に注意しなければ、商標が悪意のある者に先取り的に登録されてしまうことを防ぐことができないことを喚起している。

4、結論
  現在、両岸間で商標が先取り的に登録される自体が依然として度々発生しており、本編の文章の説明の法律に基づくことにより、取り戻せる可能性があるが、それに必要な対価は、おそらく予めブランド商標を企画して、登録出願をするという事前動作よりはるかに大きいものになる可能性がある。商標は、知的財産権となることができるだけでなく、企業又は個人が多くの時間や金銭を使って、商業市場においてマーケティング・プロモーションを行うことにより、消費者に認識させると共に、他人のブランドと区別させる識別特徴であるとも言える。したがって、弊所は、企業又は個人のブランド所有者には、先取り的登録の事態により、商業的な損失だけでなく、その後より多くの派生的な紛争トラブルが発生することを避けるために、事前に、商標の登録出願を企画し、商標マップを作成することを提案している。